ヨブ記17-19 ; 使徒10:1-23

ヨブ記

第17章

17:1わが霊は破れ、わが日は尽き、
墓はわたしを待っている。
17:2まことにあざける者どもはわたしのまわりにあり、
わが目は常に彼らの侮りを見る。
17:3どうか、あなた自ら保証となられるように。
ほかにだれがわたしのために
保証となってくれる者があろうか。
17:4あなたは彼らの心を閉じて、
悟ることのないようにされた。
それゆえ、彼らに勝利を得させられるはずはない。
17:5分け前を得るために友を訴えるものは、
その子らの目がつぶれるであろう。
17:6彼はわたしを民の笑い草とされた。
わたしは顔につばきされる者となる。
17:7わが目は憂いによってかすみ、
わがからだはすべて影のようだ。
17:8正しい者はこれに驚き、
罪なき者は神を信ぜぬ者に対して憤る。
17:9それでもなお正しい者はその道を堅く保ち、
潔い手をもつ者はますます力を得る。
17:10しかし、あなたがたは皆再び来るがよい、
わたしはあなたがたのうちに賢い者を見ないのだ。
17:11わが日は過ぎ去り、わが計りごとは敗れ、
わが心の願いも敗れた。
17:12彼らは夜を昼に変える。
彼らは言う、『光が暗やみに近づいている』と。
17:13わたしがもし陰府をわたしの家として望み、
暗やみに寝床をのべ、
17:14穴に向かって『あなたはわたしの父である』と言い、
うじに向かって『あなたはわたしの母、
わたしの姉妹である』と言うならば、
17:15わたしの望みはどこにあるか、
だれがわたしの望みを見ることができようか。
17:16これは下って陰府の関門にいたり、
われわれは共にちりに下るであろうか」。

第18章

18:1そこでシュヒびとビルダデは答えて言った、
18:2「あなたはいつまで言葉にわなを設けるのか。
あなたはまず悟るがよい、
それからわれわれは論じよう。
18:3なぜ、われわれは獣のように思われるのか。
なぜ、あなたの目に愚かな者と見えるのか。
18:4怒っておのが身を裂く者よ、
あなたのために地は捨てられるだろうか。
岩はその所から移されるだろうか。
18:5悪しき者の光は消え、
その火の炎は光を放たず、
18:6その天幕のうちの光は暗く、
彼の上のともしびは消える。
18:7その力ある歩みはせばめられ、
その計りごとは彼を倒す。
18:8彼は自分の足で網にかかり、
また落し穴の上を歩む。
18:9わなは彼のかかとを捕え、
網わなは彼を捕える。
18:10輪なわは彼を捕えるために地に隠され、
張り網は彼を捕えるために道に設けられる。
18:11恐ろしい事が四方にあって彼を恐れさせ、
その歩みにしたがって彼を追う。
18:12その力は飢え、
災は彼をつまずかすために備わっている。
18:13その皮膚は病によって食いつくされ、
死のういごは彼の手足を食いつくす。
18:14彼はその頼む所の天幕から引き離されて、
恐れの王のもとに追いやられる。
18:15彼に属さない者が彼の天幕に住み、
硫黄が彼のすまいの上にまき散らされる。
18:16下ではその根が枯れ、
上ではその枝が切られる。
18:17彼の形見は地から滅び、
彼の名はちまたに消える。
18:18彼は光からやみに追いやられ、
世の中から追い出される。
18:19彼はその民の中に子もなく、孫もなく、
彼のすみかには、ひとりも生き残る者はない。
18:20西の者は彼の日について驚き、
東の者はおじ恐れる。
18:21まことに、悪しき者のすまいはこのようであり、
神を知らない者の所はこのようである」。

第19章

19:1そこでヨブは答えて言った、
19:2「あなたがたはいつまでわたしを悩まし、
言葉をもってわたしを打ち砕くのか。
19:3あなたがたはすでに十度もわたしをはずかしめ、
わたしを悪くあしらってもなお恥じないのか。
19:4たといわたしが、まことにあやまったとしても、
そのあやまちは、わたし自身にとどまる。
19:5もしあなたがたが、
まことにわたしに向かって高ぶり、
わたしの恥を論じるならば、
19:6『神がわたしをしえたげ、
その網でわたしを囲まれたのだ』と知るべきだ。
19:7見よ、わたしが『暴虐』と叫んでも答えられず、
助けを呼び求めても、さばきはない。
19:8彼はわたしの道にかきをめぐらして、
越えることのできないようにし、
わたしの行く道に暗やみを置かれた。
19:9彼はわたしの栄えをわたしからはぎ取り、
わたしのこうべから冠を奪い、
19:10四方からわたしを取りこわして、うせさせ、
わたしの望みを木のように抜き去り、
19:11わたしに向かって怒りを燃やし、
わたしを敵のひとりのように思われた。
19:12その軍勢がいっせいに来て、
塁を築いて攻め寄せ、
わたしの天幕のまわりに陣を張った。
19:13彼はわたしの兄弟たちを
わたしから遠く離れさせられた。
わたしを知る人々は全くわたしに疎遠になった。
19:14わたしの親類および親しい友はわたしを見捨て、
19:15わたしの家に宿る者はわたしを忘れ、
わたしのはしためらはわたしを他人のように思い、
わたしは彼らの目に他国人となった。
19:16わたしがしもべを呼んでも、彼は答えず、
わたしは口をもって彼に請わなければならない。
19:17わたしの息はわが妻にいとわれ、
わたしは同じ腹の子たちにきらわれる。
19:18わらべたちさえもわたしを侮り、
わたしが起き上がれば、わたしをあざける。
19:19親しい人々は皆わたしをいみきらい、
わたしの愛した人々はわたしにそむいた。
19:20わたしの骨は皮と肉につき、
わたしはわずかに歯の皮をもってのがれた。
19:21わが友よ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、
神のみ手がわたしを打ったからである。
19:22あなたがたは、なにゆえ神のようにわたしを責め、
わたしの肉をもって満足しないのか。
19:23どうか、わたしの言葉が、書きとめられるように。
どうか、わたしの言葉が、書物にしるされるように。
19:24鉄の筆と鉛とをもって、
ながく岩に刻みつけられるように。
19:25わたしは知る、
わたしをあがなう者は生きておられる、
後の日に彼は必ず地の上に立たれる。
19:26わたしの皮がこのように滅ぼされたのち、
わたしは肉を離れて神を見るであろう。
19:27しかもわたしの味方として見るであろう。
わたしの見る者はこれ以外のものではない。
わたしの心はこれを望んでこがれる。
19:28あなたがたがもし『われわれはどうして
彼を責めようか』と言い、
また『事の根源は彼のうちに見いだされる』
と言うならば、
19:29つるぎを恐れよ、
怒りはつるぎの罰をきたらすからだ。
これによって、あなたがたは、
さばきのあることを知るであろう」。


使徒

第10章

10:1さて、カイザリヤにコルネリオという名の人がいた。イタリヤ隊と呼ばれた部隊の百卒長で、10:2信心深く、家族一同と共に神を敬い、民に数々の施しをなし、絶えず神に祈をしていた。10:3ある日の午後三時ごろ、神の使が彼のところにきて、「コルネリオよ」と呼ぶのを、幻ではっきり見た。10:4彼は御使を見つめていたが、恐ろしくなって、「主よ、なんでございますか」と言った。すると御使が言った、「あなたの祈や施しは神のみ前にとどいて、おぼえられている。10:5ついては今、ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンという人を招きなさい。10:6この人は、海べに家をもつ皮なめしシモンという者の客となっている」。10:7このお告げをした御使が立ち去ったのち、コルネリオは、僕ふたりと、部下の中で信心深い兵卒ひとりとを呼び、10:8いっさいの事を説明して聞かせ、ヨッパへ送り出した。
10:9翌日、この三人が旅をつづけて町の近くにきたころ、ペテロは祈をするため屋上にのぼった。時は昼の十二時ごろであった。10:10彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。10:11すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのを見た。10:12その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。10:13そして声が彼に聞えてきた、「ペテロよ。立って、それらをほふって食べなさい」。10:14ペテロは言った、「主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないもの、汚れたものは、何一つ食べたことがありません」。10:15すると、声が二度目にかかってきた、「神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない」。10:16こんなことが三度もあってから、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。
10:17ペテロが、いま見た幻はなんの事だろうかと、ひとり思案にくれていると、ちょうどその時、コルネリオから送られた人たちが、シモンの家を尋ね当てて、その門口に立っていた。10:18そして声をかけて、「ペテロと呼ばれるシモンというかたが、こちらにお泊まりではございませんか」と尋ねた。10:19ペテロはなおも幻について、思いめぐらしていると、御霊が言った、「ごらんなさい、三人の人たちが、あなたを尋ねてきている。10:20さあ、立って下に降り、ためらわないで、彼らと一緒に出かけるがよい。わたしが彼らをよこしたのである」。10:21そこでペテロは、その人たちのところに降りて行って言った、「わたしがお尋ねのペテロです。どんなご用でおいでになったのですか」。10:22彼らは答えた、「正しい人で、神を敬い、ユダヤの全国民に好感を持たれている百卒長コルネリオが、あなたを家に招いてお話を伺うようにとのお告げを、聖なる御使から受けましたので、参りました」。10:23そこで、ペテロは、彼らを迎えて泊まらせた。
翌日、ペテロは立って、彼らと連れだって出発した。ヨッパの兄弟たち数人も一緒に行った。


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